将棋の技法

上から順に読めば、指せるようになるまでの遠回りがいちばん少なくなります。図はすべて先手(下側)から見た向きです。

第一章 駒の動き

丸印がその駒の行けるところです。金と銀の違いと、桂馬だけが駒を飛び越えることの二つが、最初の関門です。

歩 前に一つだけ
香 前へどこまでも
桂 間の駒を飛び越す
銀 前三方と斜め後ろ
金 斜め後ろに行けない
角 斜めに走る
飛 縦横に走る
玉 全方向に一つ

成ると、歩・香・桂・銀はすべて金と同じ動きになります。覚える形が増えるわけではありません。角は成ると(斜め走り+周囲一マス)、飛は(縦横走り+斜め一マス)になります。

第二章 駒の値打ち

交換していいかの判断は、ここが土台です。歩を1とした目安です。

145
7810
12と金8前後

将棋は取った駒を使えます。だから「取られた」は「相手に渡した」と同義で、損得は二倍に効きます。とくに金銀を相手に渡すことは、終盤では致命傷になります。

と金は取られても歩に戻るので、実質は金より得です。「と金は金と同じで金より強し」と言われるゆえんです。

第三章 序盤にやること

  1. 玉を囲う 初形の玉は裸です。金銀三枚をそばに寄せてから戦います
  2. 飛車の道を通す 攻めの主役が働く筋を作ります
  3. 玉と飛車を離す 攻め駒と守り駒が同じ場所にいると、片方を攻められたときに両方が困ります(玉飛接近すべからず)

第四章 玉を囲う

まず美濃囲いを一つ覚えてください。手数が短く、横からの攻めに強く、振り飛車ならほぼこれです。

美濃囲い まずこれを一つ
矢倉 上からの攻めに強い
船囲い 対振り飛車の出発点
穴熊 最も堅いが手数が長い

図は形を示すためのもので、実戦の手順どおりの配置ではありません。組む順序は戦法によって変わります。

第五章 最初の戦法

棒銀が最初の一つに向いています。銀を真っ直ぐ繰り出して飛車先を破る、狙いが一つしかない攻めなので、うまくいった理由もいかなかった理由も分かります。

棒銀 歩を2五まで伸ばし、銀を2六へ繰り出す

振り飛車から入るなら四間飛車。飛車を4筋に振り、美濃に囲って相手の攻めを待ちます。覚える形が少なく、定跡を深く知らなくても一局の将棋になります。

第六章 手筋

手筋は「形で覚える攻め方」です。知っていれば見えます。

割り打ちの銀

金二枚の間に銀を打ち込むと、どちらかが必ず取れます。

5二に銀を打つ 両方の金に当たっている

垂れ歩とと金作り

相手陣の一つ手前に歩を垂らし、次に成ります。遅いようで、終盤ではいちばん効きます。と金は取られても歩に戻るので、ただでは損しません。

4四に垂らす 次に4三歩成

金底の歩

金の下に歩を打つ受けです。飛車で金を攻められても、歩が支えになって崩れません。「金底の歩、岩より固し」。

2九の歩が2八の金を支える

第七章 寄せと詰み

終盤は速度の勝負です。相手より一手早く詰ませられるなら、駒損は関係ありません。まず頭金という基本形を覚えてください。

頭金 金は2三の銀に支えられている

玉の逃げ道は2一と2二だけで、どちらも金が押さえています。金を取ろうにも2三の銀が利いているので取れません。逃げ道を消してから頭に金を置くのが寄せの基本形です。

詰めろ
放っておけば次に詰む状態。かけ続ければ相手は攻めに回れません
必至
どう受けても詰めろが解けない状態。実質そこで終わりです
駒を渡さない
とくに金銀。詰みかけの玉に金を渡すと、そのまま受けに使われます

第八章 格言

  • 歩のない将棋は負け将棋
  • 玉の早逃げ八手の得
  • 桂の高跳び歩の餌食
  • 三桂あって詰まぬことなし
  • 攻めは飛角銀桂、守りは金銀三枚
  • 敵の打ちたいところへ打て
  • 玉飛接近すべからず

まずは第一章と第四章(駒の動き・美濃囲い)だけで対局を始めてしまうのがいちばん早い上達です。残りは、負けた理由が分からなくなったときに読み返してください。